水害の記録~倉敷市真備町の西日本豪雨災害~

平成30年7月豪雨(通称西日本豪雨)で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備町の住人による災害備忘録

水上バイク

水は相当な高さまで来ていた。
2階の屋根だけ出ているということは4mくらいだろうか。

 

「母親の車をおいた場所も危ないかもしれない」
まず大丈夫であろう場所に置いておいたが、心配になって車の所まで行き、今いる場所まで移動させた。

 


走って車を取りに行く途中、町を覆った茶色い水の上を、水上バイクで走り回っている人がいた。

「こんな時に何やってんだ。ふざけた奴がいるもんだ」
と思った。
テンションが上ってふざけていると思ったのだった。

ところが実際はふざけていたのは自分の方で、この人は水上バイクで被災者を助けて回っていたのだった。

自分はこの時、まだ状況が理解できていなかったのだ。
まさか個人が水上バイクやボートで人を助けて回っているとは・・・。

このことは後からいろんなメディアでとり上げられて
「そうだったのか・・・」
とショックを受けた。

遊んでると思ってしまって申し訳ない。

 


母の車を移動させた後、雨はどんどん激しさを増していて、次にまた更に災害が起きるのではないかと不安が募った。

「山の中腹」的な場所に車を停めていたので、ここまで水が来るとは思わないが、その山が大雨で崩れるのではないか・・・という不安があった。

後ろの山がもし崩れたらこの位置だと間違いなく生き埋めになる。
移動するか・・・??
しかし下手に動くのもどうなのか・・・。
どこに行けばいいのか?
どこなら安全なのか?

結局動けないまま、その場所に留まっていた。