水害の記録~倉敷市真備町の西日本豪雨災害~

平成30年7月豪雨(通称西日本豪雨)で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備町の住人による災害備忘録

膠着状態と事故

最初に水を見に行ったのが夜中の1時ごろ。
2時頃に道路まであと2~30センチになって、そこから膠着状態が続いていた。

何度も水を見に行って、また家に戻ってはテレビで情報を確認し・・・の作業を繰り返していた。


水も弟の同級生の家あたりから増えるでもなく減るでもなく、の状態。

 


うちから歩いて南に行くと、道路が冠水していてそこから先は行けない。
その水際で近所の人も様子を見守っている。


すでに冠水している弟の同級生の家、その裏の家の人もたまったもんじゃない。
自分の家の2mほど先まで水が来ていて、その先は海と化している。
落ち着くわけはない。

前にも書いたが、ここまでの状態は過去にも何度かあったわけで、弟の同級生の父親も経験している。


ここで止まってくれればまだ・・・
ここで止まるだろう
いや、止まらないかも。


水を見てまた一旦家に戻っていると、
「助けてくれ!」
と誰かに声をかけられた。

知らない人だったが、車が脱輪したので持ち上げてほしい、と言う。
行ってみると普通乗用車が左側前輪後輪ともに道路から脱輪し、斜めになって停まっている。


「これはレッカーで上げないと無理ですよ」
脱輪した側は水の張られた田んぼ。
どうにかできるとは思えない。

それでもやってみるから車の後部を持ち上げてくれ、という。
そもそも車が持ち上がるわけはなく、後輪だけならまだしも、前輪も落ちてしまっているので、やってみたけどなんともならない。


聞けばこの男性は、高馬川の近くから逃げてきたという。
高台へ行くために弟らと数台の車で来たのだが、近道をしてやろうと、自分だけ集団と別ルートを通ったところ、道路の冠水に突っ込んでしまった。

びっくりして車をバックさせたら脱輪して半分落ちたのだそうだ。


電話で弟を呼ぶから携帯を貸してほしいというので貸した。
連絡はついて迎えに来るということだったが、かなり後悔していた。

最終的に車は乗り捨てられ道路に放置されたまま、男性は弟の車に乗って去っていった。


雨は依然激しく降り続いていた。