水害の記録~倉敷市真備町の西日本豪雨災害~

平成30年7月豪雨(通称西日本豪雨)で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備町の住人による災害備忘録

現実を受け止められない母

姉の家に戻って母親に状況を伝えたが、全く理解できないようだった。
あのときの精神状態は本当に異様だった。

「家はダメだった。水没した。ご近所も全部浸かってた」
「はぁ??そんなわけないよ」

写真を見せた。

「・・・・・わからないけどそんなわけない。私は明日にでも家に帰れると思ってる」

概ねこんな感じ。
母のこの状態は被災後しばらく続くことになる。

 

実際、被災後の家に帰った時でも、
「この部屋だけは浸かってないんじゃないん?」
と言ってはこっちを見、
「トイレだけは水が入ってないんじゃないん?」
と言ってはこっちを見・・・。

 

1階の特定の部屋だけ水が入らないなんてことはない。

気の毒で仕方なかった。

 

相当ショックだったのだ。
年寄りが自分の家が無くなったことをあっさり納得するわけもない。
認めたくないのはよく分かる。
しかし現実は残酷だった。