高台へ
誰かと思ったら、前出の弟の友達の親父さん。
まあ、近所の知り合いのおじさんだ。
軽トラを停めてエンジンを掛けたまま車内にいる。
母が
「逃げんの?」
と聞いた。
おじさんは
「おう、わしゃもうちょっとここで見てみるわ」
と落ち着いたものだった。
まあ過去にも経験しているからというのもあったんだろう。
「ほんなら逃げるよ。気をつけてな」
と言い残して、家を後にし、母の車を置いた近くの高台へ移動した。
午前4時頃だった。
このおじさんは後々大変なことになる。
弟が軽トラの荷台に飼い犬を積んで逃げてきていた。
飼い犬が車を怖がって大暴れ。
飛び降りようとするわ、ウンコを荷台に大量にするわで四苦八苦していた。
ペットがいるとこんな時大変。
とりあえず母を車の助手席に残して、1回家に戻ろうとした。
しかし、もうすでに辺りは水が来ていた。
さっき「車椅子の婆さんが・・・」と会話したおじさんの家の手前で道路は冠水していて、家には戻ることが出来なくなっていた。
みんな逃げれたんだろうか・・・。
土砂降りの雨は降り続いていた。